なぜ、今、日本でDXが議論されるのか 〜 注57

公開: 2021年5月6日

更新: 2021年5月20日

注57. 国家としての日本の改革

日本の国家が、国家として誕生しようとしていた時、蘇我氏や藤原鎌足と藤原不比等の親子らは、官僚組織の構築、乙巳の変とそれに続く大化の改新によって、天皇制を確立し、新しい中央集権国家建設の基礎を作り上げた。その千年後、日本の封建時代が終ろうとしていた1860年頃、我々の先人達は、それまでの幕藩政治を廃して、再び天皇を中心とした中央集権国家を建設するため、ヨーロッパ諸国を真似て、資本主義社会と国民国家の建設を目指して、明治維新の改革を断行した。

さらに、1945年、ポツダム宣言を受諾し、連合国軍に対して無条件降伏した「大日本帝国」は、連合国軍総司令部の指導と助言を受け入れて、国民を主権者とする民主主義国家、「日本」の建設に着手した。この民主主義国、日本の建設に当たっては、日本の敗戦以前から米国政府が検討していた原案を参考に、新憲法が制定された。つまり、この改革は、日本人が自ら選び、実施した改革ではなく、外国勢力によって強制的に実施することを命じられた改革であった。

現在、日本が直面している危機は、世界中の国々が直面している危機であり、それぞれの国が、自分達の国民に適した改革を模索している問題である。この改革は、日本人が、日本人の手で成しとげなければならない。しかし、本当に自分達の手で、成し遂げることができるかどうかは、分からない。改革は、その国の国民の多数が、問題を認識し、改革の必要性を認めなければ、成し遂げられない。乙巳の変に始まった大化の改新の時とは、全く、状況が異なっている。

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